その人は、ただ静かに立っているだけでした。
声を上げるわけでもなく、
何かを訴えるわけでもないのに、
なぜか目を離すことができませんでした。
月の光が差し込むその空間で、
彼女だけが、時間から少し外れているように見えたんです。
淀殿という人は、
歴史の中ではいろいろな評価があります。
強かったとも、
守ろうとしたとも、
あるいは、すべてを背負いすぎたとも言われています。
でも、こうして静かに立っている姿を見ると、
そんな言葉では足りない気がしてきます。
ただ一つ言えるのは、
この人は、
最後まで「目を逸らさなかった人」だったんじゃないか、
そんな気がするということです。
すべてが崩れていく中でも、
逃げることも、忘れることもできずに、
ただ、そこに立ち続けた。
その強さは、きっと
誰にでも持てるものではないし、
だからこそ、どこか近づきがたい美しさとして
残っているのかもしれません。
美しいというよりも、
“揺るがない”という言葉のほうが似合う人。
そんな存在が、
静かにこちらを見ている気がしました。
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