2026年3月25日水曜日

暁(あかつき)の残り香


朝露が降りたばかりの静謐な日本庭園に、柔らかな黄金色の光が差し込む。
遠くの山並みから顔を出した朝日は、彼女の背中を優しく包み込み、藍色の振袖に描かれた花々を鮮やかに浮かび上がらせていた。

差し掛けた和傘越しに感じる、新しい一日の温度。
彼女が静かに見つめる先には、まだ誰も踏み入れていない清らかな時間が広がっている。

「おはよう」という言葉さえ、この静寂を乱してしまいそうで。
ただ、朝日を背に受けて佇むその横顔は、言葉以上に雄弁に、日本の美しい朝の始まりを告げていた。

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