『竹取物語』のその先に、もしもこんな情景があったなら——
夜はとても静かで、
空には満ちた月が、やわらかく光を落としていました。
地上の音は遠く、
ただ、風が竹を揺らす音だけが、かすかに響いています。
その竹林の奥。
一本の、淡く光る竹の中に、細い道が続いていました。
まるで光そのものが、道になったような、やさしい道。
かぐや姫は、その道を、静かに歩いています。
足音はほとんどなく、
ただ衣がわずかに揺れる気配だけが、そこにありました。
振り返ることはありません。
けれどその横顔は、どこかやさしくて、
ほんの少しだけ、寂しさをたたえていました。
月あかりは、彼女を照らしているのではなく、
まるで迎え入れるように、そっと寄り添っています。
一歩、また一歩。
進むたびに、彼女の輪郭は光に溶けていき、
その存在は少しずつ、遠いものになっていきます。
竹の中の道は、どこまでも静かで、
どこまでもやさしい。
まるで、帰るべき場所が、
はじめからそこにあったかのように。
やがて、かぐや姫の姿は、
月の光の中へと、静かに消えていきました。
残ったのは、揺れる竹と、
やさしい光の余韻だけ。
そして今も、満月の夜になると——
あの竹林のどこかで、
光る道が、ひっそりと続いているのかもしれません。🌙
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