2026年3月11日水曜日

少し怒った先生と、廊下での短い会話


昼休みのあと、廊下を歩いていると後ろから声がした。

「ちょっと、こっち来なさい。」

振り返ると、先生が腕を組んでこちらを見ている。
いつもの優しい笑顔ではなく、少しだけ真剣な顔だった。

「さっきの授業中…少しおしゃべりしてたよね?」

図星だった。
思わず目をそらしてしまう。

「すみません…ちょっとだけです。」

先生はため息をひとつついて、指をこちらに向けた。

「“ちょっとだけ”でも、授業は授業。」

怒られているはずなのに、その声はどこか落ち着いていて、
本気で困っているというより、ちゃんと見ているよという感じだった。

「次はちゃんと聞く?」

そう言って、少しだけ表情がやわらぐ。

「はい…ちゃんと聞きます。」

そう答えると、先生は小さくうなずいた。

「よろしい。」

そして最後に、少しだけ笑った。

「でもね、ちゃんと謝れるのはいいこと。」

その一言で、さっきまでの緊張が少しだけほどける。

「じゃあ、次の授業は集中ね。」

先生はそう言って教室に戻っていった。

怒られたはずなのに、
なぜか少しだけ、安心した気持ちが残っていた。

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