昼休みのあと、廊下を歩いていると後ろから声がした。
「ちょっと、こっち来なさい。」
振り返ると、先生が腕を組んでこちらを見ている。
いつもの優しい笑顔ではなく、少しだけ真剣な顔だった。
「さっきの授業中…少しおしゃべりしてたよね?」
図星だった。
思わず目をそらしてしまう。
「すみません…ちょっとだけです。」
先生はため息をひとつついて、指をこちらに向けた。
「“ちょっとだけ”でも、授業は授業。」
怒られているはずなのに、その声はどこか落ち着いていて、
本気で困っているというより、ちゃんと見ているよという感じだった。
「次はちゃんと聞く?」
そう言って、少しだけ表情がやわらぐ。
「はい…ちゃんと聞きます。」
そう答えると、先生は小さくうなずいた。
「よろしい。」
そして最後に、少しだけ笑った。
「でもね、ちゃんと謝れるのはいいこと。」
その一言で、さっきまでの緊張が少しだけほどける。
「じゃあ、次の授業は集中ね。」
先生はそう言って教室に戻っていった。
怒られたはずなのに、
なぜか少しだけ、安心した気持ちが残っていた。
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