都会の喧騒が遠く消えた、とある新月の夜。
私は古びた神社の境内に立っていた。
そこは、現実と幻の境界が曖昧になる場所。
目の前には、どこまでも続くかのような深紅の千本鳥居が、
夜の帳(とばり)に静かに、
そして圧倒的な存在感で鎮座していた。
微かに光る石畳を歩み進めると、空気の密度が変わったのを感じた。
風もないのに、幾千もの小さな光の粒子が、まるで蛍のように、
あるいは古代の魂のように、宙を舞い、幻想的な光の渦を描き出す。
その光の渦の中心に、彼女はいた。
漆黒の闇に溶け込むような長い黒髪と、
月の光を浴びてなお、
それ以上に鮮烈に輝く紅い着物。
その着物には、
見事な金糸で鶴と紅葉が刺繍されており、
彼女の一挙手一投足に合わせて、
まるで炎が揺らめくように眩く光を放っていた。
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