2026年3月11日水曜日

笑顔の先生と、ほんの少しだけ話した帰り道


放課後の教室は、昼間のにぎやかさが嘘みたいに静かだった。
黒板にはまだ今日の授業の文字が残っていて、窓から入る夕方の光が教室をやわらかく照らしている。

帰ろうとして廊下に出たとき、先生が教室の前に立っていた。
ふと目が合うと、あの優しい笑顔で声をかけてくる。

「もう帰るの?」

その一言だけなのに、なんだか少しうれしくなる。

「はい、今日は宿題多いので…」
そう答えると、先生はクスッと笑った。

「ちゃんとやるんだよ?」

少し冗談っぽく言うその声は、いつもの授業の声よりもやわらかい。

「がんばります…たぶん。」
そう言うと、先生はまた笑った。

「“たぶん”じゃなくて、ちゃんとね。」

その笑顔は、怒っているわけでもなく、ただ見守ってくれている感じだった。

ほんの短い会話だったけれど、なぜか心が少し軽くなる。

「気をつけて帰ってね。」

最後にそう言って、先生は教室に戻っていった。

校門を出て歩きながら、ふと思う。

ただ先生と少し話しただけなのに、
今日の帰り道は、いつもより少しだけ明るく感じた。

たぶん、あの笑顔のせいだと思う。

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