放課後の教室は、昼間のにぎやかさが嘘みたいに静かだった。
黒板にはまだ今日の授業の文字が残っていて、窓から入る夕方の光が教室をやわらかく照らしている。
帰ろうとして廊下に出たとき、先生が教室の前に立っていた。
ふと目が合うと、あの優しい笑顔で声をかけてくる。
「もう帰るの?」
その一言だけなのに、なんだか少しうれしくなる。
「はい、今日は宿題多いので…」
そう答えると、先生はクスッと笑った。
「ちゃんとやるんだよ?」
少し冗談っぽく言うその声は、いつもの授業の声よりもやわらかい。
「がんばります…たぶん。」
そう言うと、先生はまた笑った。
「“たぶん”じゃなくて、ちゃんとね。」
その笑顔は、怒っているわけでもなく、ただ見守ってくれている感じだった。
ほんの短い会話だったけれど、なぜか心が少し軽くなる。
「気をつけて帰ってね。」
最後にそう言って、先生は教室に戻っていった。
校門を出て歩きながら、ふと思う。
ただ先生と少し話しただけなのに、
今日の帰り道は、いつもより少しだけ明るく感じた。
たぶん、あの笑顔のせいだと思う。
0 件のコメント:
コメントを投稿