教室の前に立っている先生は、いつもの笑顔ではなく、どこか少しだけ寂しそうな表情をしていました。
思わず、声をかけてみたくなります。
「先生、どうしたんですか?」
そう聞くと、先生は少し驚いたような顔をして、それから小さく笑いました。
「そんなに分かりやすい顔してましたか?」
「ちょっとだけ、です。」
先生は手に持っていたバインダーを胸の前でぎゅっと抱えながら、教室の後ろを見ました。
そこでは生徒たちが静かにノートを書いています。
「今日はね、ある生徒に少しきつく言いすぎちゃったかなって思ってるんです。」
「先生でもそんなこと考えるんですね。」
そう言うと、先生は少し困ったように笑いました。
「先生だって人ですから。帰ってから『ああ言えばよかったかな』って考えること、結構あるんですよ。」
少しだけ沈黙が流れました。
でもそのあと、先生はふっと優しい表情に戻りました。
「でもね、明日またちゃんと話してみます。」
「それが学校のいいところなんです。毎日、やり直すチャンスがあるから。」
その言葉を聞くと、不思議と教室の空気が少しだけ温かくなった気がしました。
窓から入る午後の光の中で、
先生はまた少しだけ、いつもの笑顔に近づいているようでした。
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