2026年3月12日木曜日

少し怒っている先生と、教室でのちょっとした反省会


教室の空気が、いつもより少しだけピリッとしていた。
黒板の前に立っている先生は、腕を組んでこちらを見ている。

「……何か言うこと、ありませんか?」

先生の声は大きくないのに、なぜか教室の中によく響いた。

「えっと……すみません。」

そう言うと、先生は小さくため息をついた。
怒っているというより、少しあきれているような顔だった。

「机の中からカマキリが出てきたら、普通はびっくりしますよね。」

そう言われて、思わず視線をそらしてしまう。

「でも、それを先生の机の引き出しに入れるのは、どうしてですか?」

教室は静かで、窓の外から聞こえる運動場の声だけが遠くに聞こえる。

「ちょっと…面白いかなと思って…。」

そう言うと、先生は眉をひそめたままこちらを見た。

でも、次の瞬間。
ほんの少しだけ口元がゆるんだ。

「……本当に、困った人ですね。」

完全に怒っているわけではない、そんな表情だった。

「次はやめてくださいね。先生もびっくりするんですから。」

そう言ってから、先生は腕をほどいた。

「はい…。」

素直にうなずくと、先生は少しだけ笑った。

「反省してるなら、まあいいです。」

さっきまで少し怒っていた先生の表情も、
いつもの優しい顔に少しずつ戻っていく。

放課後の教室での、ちょっとした反省会。

でもきっと、先生は本気で怒っていたわけじゃない。
少し困って、少しあきれて、そして最後には少し笑っていた。

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