工場の機械音が少しだけ落ち着く、休憩時間。
ふと顔を上げると、ヘルメットをかぶった彼女がこちらを見て笑っていた。
「今日、忙しいですね」
彼女はレンチを持ったまま、軽く肩をすくめる。
「そうですね。さっきから機械が止まらないですね」
そう答えると、彼女は少しだけ笑った。
「でも、こういう日って時間が過ぎるの早くないですか?」
確かにそうだ。
気がつけばもう昼を過ぎている。
「たしかに。忙しいほうがいいかもしれませんね」
そう言うと、彼女はうなずきながら工具を軽く回した。
まるで慣れた仕草のように。
「最初はこのレンチも重く感じたんですけどね」
「今はもう、相棒みたいな感じです」
そう言って笑う顔は、仕事の疲れを忘れさせるくらい明るい。
工場の機械音の中で、ほんの数分の会話。
でも、こういう何気ない時間が、
意外と一日の中で一番心に残ったりする。
「そろそろ戻りますか」
彼女がそう言ってヘルメットを軽く直す。
「ですね、またあとで」
そうしてまた、それぞれの持ち場へ。
工場の音の中で、彼女の笑顔だけが少しだけ印象に残っていた。
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